[氷点下の撮影トライアル」

2004年2月末、北海道の道東方面へ野鳥撮影に行って来ました。
昨年より、動体撮影に本格的にのめり込んでます。
ようやく昨年購入した超望遠のバズーガ砲レンズと
三脚の操作も何とか様になり出したかなぁと思ってます。

今回のターゲットは、丹頂鶴。
2003年6月、釧路の丹頂鶴自然公園へ丹頂鶴を撮りに行った
のですが、さすがにフェンスごしで撮る全く動かない丹頂
鶴には、ガッカリしてしまいました。
そこで、リベンジ撮影に行って来た訳です。
おまけとして、オオハクチョウの撮影もチャレンジしました。

丹頂鶴は、現在北海道と中国東部、極東ロシアに生息して
いるそうです。渡り鳥ではありませんので、丹頂鶴でも二
種類いると言うことでしょうか。
古くから日本画や、千円札にも描かれていますので、
実際にその姿を見たことはなくとも、
「ツル」といわれるとこの丹頂鶴を思い起こす人も多いはず
です。

オオハクチョウは、サハリン北部やカムチャツカを含む
ユーラシア大陸北部の広い範囲で繁殖し、そこから渡来し
日本で越冬する渡り鳥(冬鳥)だそうです。

今回の自分の撮影ルートですが、
女満別空港から、氷河を撮りに
網走までレンタカーを走らせ北上しました。
しかしながら、残念なことに、今年は暖冬で氷河の漂着が
10日間位遅れているとの事でした。しかたなく、撮影を
断念し、オオハクチョウの撮影ポイントである屈斜路
湖畔に向かいました。
屈斜路湖に着いた時は、既に日がドップリ暮れていたので、
本格的な撮影は、次の日の明け方からとなりました。

<オオハクチョウ>
北海道の日の出時刻は、大体6:25前後です。
その日の朝は青空が広がり、とっても天気が良かったのでした。
先程、暖冬と言いましたが、それでも朝の気温は氷点下7、8度
で冷蔵庫の中の方が暖かいんですよね。
朝5時起きで、6時に屈斜路湖の砂湯と言うところに
カメラ機材をスタンバイしました。
この砂湯は、飛翔する白鳥を撮影するポイントです。
また砂湯は「御神渡り(おみわたり)」でも有名な撮影ポイント
です。御神渡りっていうのは、氷点下15〜20度位の寒い朝に
太陽が昇り始めて、気温が上がっていくと起こる自然現象です。
(原理を説明すると、氷は凍ると体積が小さくなるのは小学校の
時に習いましたね。その氷が溶け出して膨張し逃げ場が無くなり、
氷が音を上げながら破裂して屈斜路湖の中州まで渡るという現象
です。)ただ、何度も言いますが、今年は暖冬のため
氷点下15度以下にはならなかったので大きな気温差が無く、
この御神渡りの撮影は出来ませんでした。

さて、6時にスタンバイして最初に撮った画像が白鳥の寝る姿。
(寝起きを襲う趣味はありませんが、寝起きを覗くのは大好き
です。笑)
凍った屈斜路湖の上にちょこんと可愛く丸くなって寝ていました。

靴下を二枚重ねで履き、靴底には足形のホッカイロまで
装備していたんですが、10〜15分位でつま先が冷たくなり
始めました。なかなか、白鳥達は起きてくれず気長に待とうにも
凍傷になったら大変ですので、早く起きてくれぇ〜と祈ったので
した。6時半頃ようやく、白鳥が羽を広げ始めました。

超望遠レンズは、画角が狭いため、飛んでいる被写体を
フレームの中に入れるのはとっても難しいんです。
フレームに入ったとしても、オートフォーカスでは、
飛んでる鳥はまず綺麗に撮れません。
ピントが合わないからです。
教本通り、今回の飛翔する鳥は全てマニュアルでピントを合わせ、
バズーガ砲レンズを機関銃みたいに連写モードで
撮りまくりました。苦笑
30m位先に二羽のオオハクチョウが飛んできたので、
連写で4枚撮りました。そのうちの一枚がこれです。


白鳥って「白鳥の湖」とかバレイでも取り上げられていてるので
美しくスマートな鳥をイメージされる方も多いと思いますが、
全然スマートなんかじゃありません。扁平足だし・・・。

この日の朝は、手先の感覚が無くなる前に切り上げました。
それでも何だかんだ言って、結局8時までねばってしまった
為に、つま先の感覚は全くなくなりました。
ペンションに戻って暖まって朝食を取ってから、
次のポイントに向かいました。

屈斜路湖の古丹(こたん)ってところです。
屈斜路湖は露天風呂のメッカとも言われているそうですが、
この古丹も露天風呂で有名なところです。
氷点下の中、露天風呂に浸かりながら白鳥を眺めるという、
とっても、おつなところです。
ホントは湯煙と綺麗なお姉ちゃんの背を入れて撮った方が
幻想的、且つ、エッチぽくって良いと思っていたのですが、
残念なことに、露天風呂が清掃中であった為、入浴者は居ず。
苦笑。また、レンズの結露を懸念してあまり湯煙が立って
いないところを撮影しました。これです。

北海道の撮影は、日中でも0度〜氷点下1度位でしたが、
無風なので体感温度は寒いとは感じませんでした。
でも昼間であっても雪の上に15分位ジッと立っていると、
だんだんとつま先が、冷たくなります。1時間位
するとつま先の感覚は、全く無くなります。
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更に南下して阿寒郡鶴居村ってところに行きました。

<丹頂鶴>
丹頂鶴の繁殖期は、2月〜3月です。
鳴き合いをして絆を確かめあい、ダンスを踊り、
時々現れる侵入者を追い払ってなわばりを確保します。
夏は釧路湿原に身を隠し、子育てをするようです。

さてさて、次の日は、朝4時半起きで、
今度は5時に機材をスタンバイしました。
音羽橋(おとわばし)という橋から、川の下流で群を作って
寝ている丹頂鶴を狙うポイントです。
白鳥と丹頂鶴の寝方の違いが分かると思います。
何故、屈斜路湖より、1時間早くスタンバイしたかというと、
この音羽橋ってかなり有名なんで、アマチュアカメラマンが
30〜100人位やってくるんです。
つまり、陣取り合戦が激しいんです。
この日の朝は、観光バスが二台来たんで、100人は居ました。
レンズと三脚が列ぶ光景は、もの凄い壮観さです。
少なくても、総額で5000万円位は列んでいたと思います。

一度宿に戻り、朝食後次のポイント鶴見台ってところに行って
求愛の叫びを上げる丹頂鶴を撮りました。

昼食後、今度は伊藤サンクチュアリと言う
丹頂鶴の給餌場に行って、低空飛行の丹頂鶴、
軽やかに二匹で踊る丹頂鶴羽ばたく丹頂鶴を撮ったのでした。

この丹頂鶴もオオハクチョウと同じようにマニュアルでピントを
合わせたんですが、丹頂鶴の方が、オオハクチョウより
ピントを合わせるのが困難でした。丹頂鶴の方がオオハク
チョウよりずっとずっとスマートなんです。
野鳥撮影の基本は、羽にピントを合わせるのでは無く、
顔にピントを合わせると言うのがベターだそうです。
プロは目にピントを持っていきます。
オイラも、もっと技術を高めなくちゃと思ったのでした。